半導体製造後工程向け システム構築3つのポイント
TSMCの熊本への進出を契機に、九州地域では後工程関連企業の誘致が積極的に進められています。
微細化技術の進展が著しい前工程ですが、物理的な限界が近づく中、新たな可能性が求められています。
そこで注目されているのが、後工程です。
後工程は、微細化された半導体チップをパッケージングし、実用的な製品へと仕上げていくフェーズです。
近年、3次元積層やチップレットといった技術革新により、後工程の重要性はますます高まりつつあります。
これらの技術は、半導体の性能を飛躍的に向上させ、新たな製品を生み出す可能性を秘めています。
しかし、高度化していく後工程に対応するためには、より複雑なシステム管理が求められるようになってきました。
今回の記事では、高度化が進む後工程において、システムに求められる機能要件について解説していきます。
後工程とは
後工程ではシリコンウェーハをチップに分割し、パッケージング、検査、そして最終製品の形に仕上げます。
<半導体製造 後工程>
1.ダイシング
ウェーハと呼ばれる円盤状の基板から、個々の半導体チップを切り出す。
2.ワイヤーボンディング
チップとリードフレームの電極を、金線などで接続する。
3.モールド
チップとリードフレームを樹脂で覆い、保護する。
4.ファイナルテスト
製品が正常に動作するかを検査する。
5.パッキング
製品をパッケージングし、出荷準備を行う。
後工程では工程の進捗に伴って製品の形状や寸法が変化するため、それに合わせて製品の識別単位も変更されます。
このため、工程ごとに異なる製品の荷姿に対応したトレーサビリティと、最終検査結果と前工程の製造データとの相関分析をシームレスに行える生産管理システムが不可欠となります。
工程のシステム紹介
後工程では、製造工程が進む中で製品形状が変化するため、それに合わせた管理が必要になります。
生産性向上や品質向上のために重要な5つのシステムを紹介します。
5つのシステムと効果
システム |
概要 |
期待できる効果 |
計画立案 |
納期から逆算し、材料の発注など、 |
最も効率的な計画を立てることで、 |
実績管理 |
各工程の生産実績を正確に管理し、 |
工程進捗状況・データを可視化し、生産性や品質向上、正確なトレーサビリティが可能になる |
不良品管理 |
完成した半導体チップに対して行われた検査結果を管理する |
不良の原因を特定することで、 |
材料管理 |
・樹脂、金線、リードフレーム、金型、治工具などを管理する。 |
必要なものを必要なときに必要な分だけ生産(JIT)し、余剰在庫や保管コストを削減する |
外注管理 |
外注先の生産状況をリアルタイムに共有し、進捗を可視化する |
納期遅延リスクを最小化し、 |
後工程のシステム導入の上で重要なこと
後工程で活用するシステムを構築する上でポイントが3つあります。
多品種少量生産に対応するための計画立案
・需要変動に対応した適切な生産計画とリソース最適化の実現
・歩留まりや稼働状況などの生産実績を基にした計画を立案
・柔軟なディスパッチに対応したシステム設計
製造実行システム(MES)
・工程毎に変化する荷姿に対応した正確なデータ管理
・小ロット化やバッチ組みなどに柔軟に対応したシステム設計
・多段階のテスト結果を一元管理し迅速にフィードバックできる仕組み
・標準化されたデータフォーマットで外注企業とスムーズな実績連携
トレーサビリティ
・検査結果の適切な分類、要求用途に合わせたグレードの管理
・工程間での荷姿変化や前工程とのデータ連携を通じた迅速な原因究明
・ウェーハやチップ単位の履歴を記録し、不具合分析や品質管理を効率化
・製品品質へ直結する治工具の使用履歴と所在の追跡
上記のポイントを踏まえたシステム構築により、生産計画から出荷までの一連のプロセスが最適化され、生産効率の向上と高品質な製品の安定生産を実現します。
さいごに
半導体後工程は、製品の最終的な形を作り上げる重要な工程です。
高度化が進む今、より精密なシステム管理が求められています。
システム導入は弊社にお任せください。
豊富な経験とノウハウをもとに、お客様のニーズに最適なシステムをご提案いたします。