MES導入による設備保全の効率化
ここ最近、設備保全の効率化を目的としたMESの導入が増えています。
製造業において生産性向上と製品品質の安定化のためには設備の安定稼働が不可欠です。
従来の設備保全はベテラン技術者の経験と勘に頼る部分が大きく、人材育成や予期せぬ故障による生産停止のリスクが課題となっていました。
今回は製造実行システム(MES)導入で設備保全がどのように効率化され、企業経営にどのようなメリットをもたらすのかを解説します。
設備保全を現場の勘に頼る限界
MESなどを導入せず、設備保全を技術者の経験や勘に頼っている現場では以下のような課題があります。
<MES導入前の設備保全の課題>
1.属人化
ベテラン技術者の知識や経験に依存しており、
人材の異動や退職によってノウハウが失われるリスクが高い。
2.予期せぬ故障
経験に基づいた判断のため、突発的な故障が発生しやすく、
生産ラインの停止に繋がり、大きな損失につながることもある。
3.データ不足:
設備の稼働時間、故障履歴などのデータが体系的に管理されていないため、
設備の寿命や最適なメンテナンス周期を把握することが困難である。
4.効率性の低下
経験に基づいた判断のため、作業に時間がかかり、
効率的な保全が難しいケースも少なくない。
特定の作業者のスキルや経験に依存してしまうことは、組織としての保全活動が難しい状態をもたらしてしまうのです。
MES導入による設備保全の効率化
MESを導入することで、設備保全は大きく進化します。
・データの見える化
設備の稼働状況、故障履歴、部品交換履歴など、あらゆるデータを一元管理。
設備の状態をリアルタイムで把握し、問題点を早期に発見することが可能になります。
・予防保全の実現
故障履歴やセンサーデータなどを分析し、故障を事前予測して予防保全を実施できるようになります。
突発的な故障による生産停止のリスクを大幅に軽減できます。
・作業の効率化
メンテナンス作業のスケジュール作成や部品発注などが自動化され、作業者の負担を軽減。
作業マニュアルを電子化することで、誰でも同じ手順で作業を行えるようになり、作業ミスを防ぐことができます。
・製造管理との連携
MES製造管理機能で収集する作業履歴と設備保全機能を連携。
設備故障発生直前に製造した要注意ロットのピックアップ(トレサビ)や、金型ショット数、治工具利用回数と絡めての分析などが可能となります。
MES導入がもたらす経営への影響について
MESによる設備保全の効率化は、企業経営にもポジティブな影響を与えます。
予期せぬ故障による生産停止が減って生産計画の安定化に繋がることで、生産性の向上につながります。
また設備の最適な状態の維持は製品の品質向上をもたらします。
さらに予防保全の実現で部品交換費用や人件費などのコスト削減ができ、生産停止による機会損失も減少。
このように設備の稼働率向上音コスト削減により企業の収益性が向上し経営の安定化に繋がるのです。
さいごに
今回は設備保全をMESで強化することが、経営にどのような影響を与えるのかという視点で解説いたしました。
このように考えてみると、設備保全の強化を目的としてMESの導入を決めるのもその通りだと腑に落ちます。
MESは、設備保全の課題を解決し、企業の競争力強化に大きく貢献するシステムです。
データに基づいた科学的な保全を実現することで、より効率的で安定した生産体制を構築することができます。
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