製造業の製造工程でMES(製造実行システム)が欠かせない理由
「ヒューマンエラー(人為的ミス)を無くしたい」
「計画担当者が製造現場をタイムリーに把握できるようにしたい」
「余剰在庫を持たず、適正在庫を維持したい」
製造業で、このような課題をお持ちの方は多いかもしれません。
MES(製造実行システム)は、製造工程を適正管理するために役立つ重要な仕組みです。
MESが導入されていない場合はどのような問題が起こり得るのでしょうか?
一方、MESを導入していたらどんなメリットがあるのでしょうか?
この記事では製造業に関わっている方の身近にある事例を交えて、MES(製造実行システム)の必要性についてお伝えします。
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MESとは?
MESとは Manufacturing Execution System の略で、日本語では製造実行システムと言います。
具体的には、製造現場での製造工程の把握や管理、作業者への指示や支援などを行う仕組みのことを指します。
MESの特徴は、広い意味で生産管理システムの一つなのですが、工場の製造ラインの各製造工程と連携できることです。
機能としては、作業手順管理、入荷・出荷管理、品質管理、保守管理など11機能が定義されています。
ただし、それらの機能すべてを使うのではなく、現場や管理体制の状況など、必要に応じて利用するのが一般的です。
MESの必要性
製造業では「ヒト・モノ・時間」のような経営資源を無駄なく活用し、いかに生産性を向上させるか?が重要です。
これを実現するために、生産状況を把握できる生産管理システムはもちろんのこと、製造ラインひとつひとつの作業に着目した現場視点の管理システムが必要です。
日本の製造業はこれまで世界的に優位な位置に立っていましたが、昨今、世界各国のIT化の流れによって品質の高さだけでは対応できなくなってきました。
また、大量生産から少量多種生産へ需要が変化してきたことで、「何を・どのくらい・どれくらいの期間で」生産するのかを、人の力だけで予測・管理するのは困難となりつつあります。
ベテランの知識や裁量だけでその判断を行っていては、スキルやノウハウが「その人頼り」となるため、将来、人手不足が深刻化していくと大きな障壁となるかもしれません。
MESを導入すると「生産資源の配分」や「作業員の製造管理」など、製造ラインの細かな情報管理ができるようになり、工場間の連携も可能となります。
これらの蓄積されたデータをもとに、製造オペレーションを適正化することができます。
製造業の製造工程でMES(製造実行システム)が欠かせない理由
製造業の製造工程でMESが欠かせない理由を、今回は3つの事例を参考にご紹介します。
1.ヒューマンエラー(人為的ミス)が起こる
2.製造現場に聞かないと何もわからない
3.管理者の頭痛のタネ、リスク回避のために在庫が増えてしまう
それぞれ詳しく解説します。
①ヒューマンエラー(人為的ミス)が起こる
製造業の製造ラインでは、人の手が入るとミスが発生する可能性(リスク)が高まります。
例えば、治工具の使い方を間違えて作業効率が悪くなることもあるでしょうし、手順書を見間違えてしまう事もあるでしょう。
その影響で頻繁に製造ラインを止めてしまうと、生産性を落とすだけでなく、不良品を増やしてロットが廃棄になる可能性もあるのです。
また、作業実績の入力に関しても、人力でやっていると作業時間や作業量などの入力ミスが発生する可能性があります。
作業時間を間違えると正確な製造原価がわかりませんし、作業量を間違えると製造実績数に隔たりがあるだけでなく、完成品在庫や中間品在庫量に影響を及ぼします。
計画担当者にとって、それらは頭が痛い問題ではないでしょうか。
また、昨今の製造現場では外国人労働者も増えており、
マルチ言語対応や文化レベルを考慮したMESの導入が必要となっています。
②製造現場に聞かないと何もわからない
MES(製造実行システム)を使えば、製造実績が”リアルタイム”でわかります。
これは、計画担当者に大きなメリットを与えます。
「製造」と「計画立案」の仕事は別部署で行われていることが多いですが、その繋がりが密であればあるほど正確に作業が行えます。
リアルタイムに作業進捗を把握できる環境は、計画担当者が在庫や生産可能数を正確に把握し精度の高い作業計画を組む事ができます。
また、正しい納期回答は顧客満足度の向上に繋がり、それが売上アップにつながります。
また突発的な緊急オーダーに対しても、計画担当者は現実的な計画をすぐに作成する事もできるようになります。
しかし、MES(製造実行システム)が導入されていない企業はどうでしょうか?
もしMESを導入していないと、作業者が製造実績をその日の仕事終わりに手入力しますので、計画担当者は製造ラインの進捗をタイムリーに把握できません。
これによって計画担当者は、正確な計画を立てる事が困難となるでしょうし、万が一緊急オーダーが入った場合は、製造現場に仕掛、在庫数、作業進捗、緊急オーダーの納期などを直接聞く必要があります。
つまり、現場作業者に聞かないと計画担当者が何も回答できない環境となってしまいます。
果たしてこれで良いのでしょうか?
③管理者の頭痛のタネ、リスク回避のために在庫が増えてしまう
製造ラインを止めてしまう要素の一つとして、部品や中間品の欠品が挙げられます。
この”欠品”を発生させないために在庫をたくさん抱える行為が、余剰在庫を抱えてしまう原因のひとつです。
「在庫量を正確に把握できないので余剰在庫になるかも…。」
「でも、欠品で製造ラインを止めるよりは良いかもしれない…。」
管理者のジレンマですよね。
余剰在庫は設計変更によって、多くの在庫を廃棄するリスクがありますし、保管スペースなどの管理コストも発生します。
それゆえに“適正在庫を維持すること”は、重要課題のひとつです。
しかし工程が多い製造ラインの場合、正確な仕掛量、在庫量を測り、それを維持するのは人の作業だけでは困難です。
刻々と変化する顧客要求に応えるために、状態を正確かつ詳細に把握するには、やはりMESの導入が効果的です。
さいごに
複雑化・グローバル化が進む現在の製造業において、MES(製造実行システム)に求められる役割もより複雑化してきています。
わたしたちKISはスクラッチ開発とパッケージ製品の両方の優位性を併せもった、次世代型グローバルMESパッケージ「DELMIA Apriso(デルミア アプリソ)」(ダッソー・システムズ株式会社 製)を活用し、お客様の課題へ最適なMESソリューションをご提供しております。
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