MES導入で生産性向上へ! 製造業のためのMES活用術ー後編ー
前回はMESの11機能について「モノ・人・全体」に分け、MESの機能とその導入メリットについて解説させていただきました。
本記事ではこのMESを活用するための3つの具体的な方法を紹介します。
Case1:データの収集・分析
MESの活用の第一歩はデータの収集・分析です。
MESは製造現場の様々なデータをリアルタイムに収集・分析できるシステムです。
< 収集データとその活用例 >
対象 |
収集データ例 |
期待できる効果 |
製品や部品 |
識別番号 |
製品や部品のトレーサビリティが容易になる |
設備や工具 |
稼働状況 |
設備や工具の故障や停止を防ぎ、 |
作業者 |
作業時間 |
作業者の能力やスキル、作業時間などを |
工程 |
進捗状況 |
工程の安定化や効率化、 |
原材料や在庫 |
消費量 |
原材料や在庫の最適な管理ができる |
様々なデータを収集・分析するためには以下のような技術が用いられます。
データの収集・分析を進める上で、データの品質や正確性の確保・セキュリティやプライバシーの保護・活用方法や効果の検証が課題となる場合もあります。
そのためデータの収集・分析に関するルールや基準を設定し、適切な管理や監視を行うことが求められます。
Case2:プロセスの制御・最適化
データの収集・分析の次はプロセスの制御・最適化です。
これは収集・分析したデータをもとに製造プロセスを自動化・最適化する段階のことです。
プロセスの制御・最適化に取り組むことで以下のような効果が期待できます。
データ対象 | プロセス制御 ・最適化の例 |
期待される効果 |
製品や部品の 識別番号 |
作業指示や 検査結果の表示 |
作業の効率化や無駄の削減、 スケジュールの最適化などが可能になる。 |
設備や工具の 稼働状況や保全履歴 |
・保全スケジュール立案 |
設備や工具の故障や停止を防ぎ、 稼働率や寿命を向上させる。 |
作業者の 作業時間やスキル |
・作業割り当て ・スケジューリング |
作業者の能力やスキル、 作業時間などを考慮した 人的資源の管理ができる。 |
工程の 進捗状況や実績 |
生産計画や在庫管理 | 工程の安定化や効率化、 品質の向上などが可能になる。 |
材料や在庫の 消費量 |
購買計画や出荷管理 | 原材料や在庫の最適な管理ができる。 |
プロセスの制御・最適化には様々な方法がありますが、以下のような技術が用いられます。
1.設備や工具の動作を制御する
→PLC(Programmable Logic Controller)や
FA(Factory Automation)など
2.設備や工具の状況を監視する
→SCADA(Supervisory Control And Data Acquisition)や
HMI(Human Machine Interface)など
3.生産計画や在庫などを管理する
→ERP(Enterprise Resource Planning)や
SCM(Supply Chain Management)など
4.生産計画や在庫管理などの最適化
→ AIやビッグデータなどの分析技術
プロセスの制御・最適化を進める中で、
・プロセスの変更や改善に伴うシステムの更新・運用の負担増
・プロセスの自動化や最適化に伴う作業者のスキルやモチベーションの低下、事故やトラブルの発生
などが課題となるケースがあります。
そのためプロセスの制御・最適化に関するルールや基準を設定し、適切な管理や監視を行うことが求められます。
Case3:品質の管理・改善
プロセスの制御・最適化を行ったら、最後に品質の管理・改善を行います。
これは収集・分析したデータをもとに品質の基準や適用・品質データの分析やフィードバック・品質改善の計画や実行などをする段階です。
例えば製品や部品の品質に対して、以下のような取り組みと効果が考えられます。
● 品質基準を設定し、検査や試験を実施する
→ 品質の一貫性や信頼性が向上
● 品質データを分析し、品質のバラつきや不良の原因、改善策などを明らかにする
→不良品の発生やリコールの発生が減少
● 品質データをフィードバックし、品質の向上や改善の効果を評価する
→質の向上や改善の効果が確認できる
● 品質改善の計画を立て、実行する
→顧客からの信頼や満足度が向上する
品質の管理・改善には様々な方法がありますが、以下のような手法が用いられます。
1.国際的な品質規格への準拠
→ISO(International Organization for Standardization)や
JIS(Japanese Industrial Standards)など
2.品質管理手法の採用
→QC(Quality Control)や
QA(Quality Assurance)
3.品質改善手法の採用
→PDCA(Plan-Do-Check-Act)や
DMAIC(Define-Measure-Analyze-Improve-Control)など
4.品質設計手法の採用
→QFD(Quality Function Deployment)や
FMEA(Failure Mode and Effect Analysis)など
品質の管理・改善を進める中で、
・ 品質の基準や適用の統一、正確化の確保
・ 品質改善の計画や実行の効果、効率の検証
などが課題となるケースがあります。
そのため品質の管理・改善に関するルールや基準を設定し、適切な管理や監視を行うことが求められます。
さいごに
今回はMESの活用方法として3つの方法をご紹介しました。
MES導入により製造現場のデータを可視化・活用・連携することができ、生産性や品質、コストや顧客満足度などの向上につながります。
MESは製造業における生産性向上のための強力なパートナーであり、製造現場のデジタル化を進めることができます。
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