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世界の半導体市場の動向と熊本の発展

世界の半導体市場の動向

2023年から2025年にかけて、世界中で半導体の新工場建設が相次いでいます。   

TSMC、IntelMicronInfineon、サムスンといった主要企業が、日本、アメリカ、ヨーロッパ、東南アジア、中国など世界中で新工場の計画・建設を進めています。

従来、半導体のサプライチェーンは各国の得意分野ごとに分業されていました。

しかし近年では地政学的リスクや経済的自立を理由に自国内で設計から製造まで完結させる取り組みが強まっています。 

特にアメリカやヨーロッパでは、生産能力を強化し、半導体産業の安定を図るための政策が進められています。          

こうした各国の生産能力向上に伴い、今後の世界の半導体産業はより激しい競争に突入すると予想されます。 

熊本における半導体産業の発展  

1.半導体工場の新設・増設  

日本国内でも半導体産業の活性化が進む中、特に注目を集めているのが熊本県です。   

TSMC、SONY、荏原製作所、三菱電機の新工場や東京エレクトロンの研究棟などの新たな半導体工場の設立が進んでおり、県全体で半導体関連産業の集積が加速しています。        

TSMCの進出が決定した2021年秋以降、熊本県内企業の工場新設・増設を支援する補助金の認定件数が半導体関連だけで13件に達し、熊本県の投資予定額は計263.1億円に上ると発表されています。

2021年度上半期は32.4億円だった熊本県の半導体関連投資額は、進出発表後の下半期には61.5億円に倍増しています。

その後も増加傾向が続いており、2023年度には149.8億円にまで達しました。

2023年度の半導体関連の投資額は全業種の約47%を占め、雇用計画においても全体の約62%を占めるなど、熊本県の地域経済に大きな影響を与えています。

2.熊本県の取り組み

TSMCの進出を受け、熊本県は国内の専門家や県内外の半導体関連企業を対象に調査を実施し、指摘された課題への対応を進めています。

特に、サプライチェーンの強化や人材の育成・確保を重視し、交通インフラの整備や地元企業の半導体産業への参入支援に取り組んでいます。

人材育成面では、県内の大学や工業高校に半導体関連学部を新設、また産学連携の一環として「くまもと3D連携コンソーシアム」を設立し、三次元積層技術の研究を推進しています。

これらの取り組みには国の交付金を活用し、地元企業の新規参入や新たな産業の創出を促しています。 

半導体市場の課題

ここで半導体業界の課題であるシリコンサイクル」と、それに対する具体的な対策について説明します。

1.シリコンサイクルの原因

「シリコンサイクル」は技術革新や設備投資のタイミングにより発生する半導体市場の需給変動のことを指します。

シリコンサイクルの原因は以下にあるように半導体需要の急激な変動と生産能力の調整遅延が原因です。

シリコンサイクルの原因

1. 技術革新による需要増加
  半導体メーカーは常に新しい技術を開発し、それに対応した製品が登場すると市場の需要が急増します。

2.生産能力の不足と設備投資
  需要の急増で既存の生産能力では対応できなくなり、価格が上昇。
  企業は生産設備への巨額の投資を行い、生産能力を拡大します。

3.供給過剰と価格下落
  工場の建設や新技術の製造には時間がかかるため、その間に競争が激化。
  供給が追いつく頃には価格競争が発生し、半導体のコモディティ化が進みます。

4. 市場の不況と投資サイクルの難しさ
  供給過剰が原因で価格が下落し、不況へとつながります。
  さらに半導体の製造には多くのサプライヤーが関与しており、
  各社の投資タイミングを調整することが困難な点も
  シリコンサイクルを助長する要因となっています。

    2.シリコンサイクルへの対策

    このような市場の変動に対し、安定した供給と競争力の維持を図るためには、以下の施策が重要です。    

    1.サプライチェーンの多様化

    単一の調達先に依存せず、複数の地域や企業から調達しリスクを分散する必要があります

    複数調達先の確保 地理的に分散したサプライヤーと取引関係を築くことで、特定地域のリスクを回避
    戦略的在庫の確保 需要の変動に備え、一定量の在庫を持つことで供給不足を防ぐ 。
    サプライヤーとの
    連携強化
    緊密な情報共有と共同開発を推進し、サプライチェーンの安定性を向上。
    リスク管理システムの
    導入
    サプライチェーン全体のリスクを可視化し、早期対応を可能にする。

    2.研究開発投資の強化

    技術革新のスピードが速まる中で、持続的な競争力を確保するためには研究開発投資が不可欠です。     

    次世代半導体技術の開発 EUVリソグラフィー技術など最先端の製造技術への投資を強化。
    材料・プロセス技術の開発 新しい材料や製造プロセスの研究により、コスト削減と性能向上を実現。
    設計技術の開発 高性能・省電力なチップ設計を進め、市場ニーズに応じた製品を開発。
    人材育成 高度な専門知識を持つ人材の確保と育成を進め、研究開発の基盤を強化。

    変化を遂げる半導体市場で選ばれるシステム開発とは?

    先述した通り、半導体市場はかつてないほどの変化を遂げ、需要は多様化の一途を辿っています。         

    このような状況下で半導体メーカーが競争力を維持・向上させていくためには、変化に柔軟に対応できるシステム開発が不可欠です。

    さらに、半導体製造は24時間365日稼働するミッションクリティカルな環境です。

    システムの停止が生産ライン全体に影響を及ぼし、甚大な損失につながる可能性があります。

    そのため、システムには極めて高い信頼性と安定性が求められます。

     

    弊社は長年にわたり半導体業界のお客様に寄り添い、様々なシステム開発に携わってきました。

    設立当時から培ってきた豊富な経験と専門知識を活かし、部分最適ではなく、サプライチェーン全体を包括的に捉えたシステムを提供します。

    →半導体製造業向けITソリューションの詳細はこちら

     

    株式会社KISは半導体業界の変革を支えるパートナーとして、常に「お客様の成功」を第一に考え、最適なソリューションを提供してまいります。

    半導体システムのことでお困りのことがございましたら、お気軽にお問い合わせください。

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