CASE

導入事例

IoTで排水量低下の兆候を見える化し、効率的な予測交換でトラブルを9割削減。

確かな技術で熊本のケミカル技術を牽引! 先進企業が取り組むIoT活用。

 

株式会社オジックテクノロジーズは1947年の創業からめっき加工を主産業に80年近く熊本のケミカル技術を牽引してきました。

自ら考え、目標を持ち、社会に貢献する充実した人生を送ろうという企業理念に基づいた活動は輝かしい業績を生み出し、「全国めっき技術コンクール厚生労働大臣賞」の受賞数に応じて表彰が行われる「プレミアムアワード」では全国9位の表彰回数を誇っています。

また2021年には従業員が黄綬褒章(国から農業、商業、工業等の業務に精励し、
他の模範となるような技術や事績を有する人に贈られる)を受賞するなど、
国でその実績が評価されています。

しかしそんな前進的な企業にも、
解決しなければならない問題がありました。

IoT導入の経緯とその後の効果について、
担当の米田匡秀さんにお伺いしました。

 

 

環境工務部 環境工務課 サブキャプテン
米田 匡秀様

IoTで排水量低下の兆候を見える化し、効率的な予測交換でトラブルを9割削減。

――オジックテクノロジーズさんの事業はめっき技術が大変高く評価されていて、
半導体、機械、医療分野とさまざまな用途に使われていますね。
めっき加工においてはどんなことを重要視されているのでしょうか?

米田 めっき加工は製品の洗浄など製造工程の広い範囲で水を使います。

そして、使用した水を綺麗に浄化してから排水していくのですが、この過程がとても重要なのです。

排水処理の工程がいくつかあるのですが、菅が詰まるなど配管のトラブルなどあると水が流せなくなるため、製造を一旦ストップさせて修繕しないといけなくなってしまいます。

私はその管理を担当しているのですが、2020年に工場へ赴任した時にはトラブルが毎月発生していました。

ちょうど前年の2019年にKISさんと一緒に改善に向けた取り組みを始めたところでした。

 

――工場の稼働を止めないためには排水をスムーズに行うことが重要なのですね。

米田 そうなんです。

工場は24時間稼働していますが、排水処理が止まると生産ラインも止めなければならないことがあります。

日中は担当部門が常駐していますので異常が起きても対応ができますが、
夜間は不在になるため、夜間の異常は現場の従業員が対応せざるを得なくなります。

そうすると本来の彼らの仕事である生産に回ることができず、修繕にも時間がかかるので生産性が落ちてしまいます。

そういった状況を改善するためにIoT導入へと進むことになりました。

実は私は当時、夜中にアラーム音の空耳が聞こえたり、電話がかかってくると工場のトラブルじゃないかと思うようになったりしていて…。

それくらい心配していました。

 

――とても気を使われていたのですね。
  そんなご苦労をされていた中で、みなさんはIoT導入にどんな効果を期待されていたのでしょう?

米田 異常が起きてから対応していた事後保全から、異常が出る前に対応する予防保全に変えることです。

私たちで異常が出る時の状況を把握できるようになれば、
その兆候が見えた時点で生産していない時間帯にメンテナンスを計画・実施することができますから。

異常が発生すると対応に20分程度かかるので、仮に20件あれば400分のロスになります。

そして、一度止まった作業をもう一度立ち上げるのにさらに時間がかってしまいます。

その時間、生産が止まってしまえば、お客様にもご迷惑をおかけすることになりますので、事前に対処できることがとても重要なのです。

――それはとても重要な役割ですよね。
  その改善のために、IoTセンサーで製造設備のデータを集めて、
  不調の兆候を見える化する「SetsuVision 傾向管理(セツビジョン)」を導入されましたが、
  導入後はどんな変化がありましたか?

米田  当初思っていたよりも効果が上がっています。

正直なところ、導入前はトラブルが半分以下になるイメージも持てていなかったのですが、
実際はこの4年で8〜9割減っていて、期待値以上の効果がありました。

製造現場からも異常対応をしなくてよくなった、という喜びの声がかなり出ています。

工場には4つの生産ラインがあり、生産量はラインごとに変動するため排水設備への負荷も変わります。

排水過程ではすべての生産ラインから流れてくる水が合わさるので全体の生産量を把握する必要があるのですが、
その生産量が変わると管が詰まるタイミングもずれてくるので予測がしにくいのです。

月に1回など間隔を決めてメンテナンスを実施する定期保全をしていたこともありますが、生産量が違うという変動要因があるため、23週間でメンテナンスが必要になったり逆にもっと長い間隔でもよかったりしていました。

しかし今は生産量を把握しなくてもSetsuVisionを見ればいいので楽になりました。

 

――それはよかったです。導入に際してご苦労されたところや工夫されたことはありますか?

米田 2020年にはトラブルは半分になったので1台目を入れた段階で効果は見えていましたが、もっと減らしていきたかったので2台目を導入しました。

現在は流量、液面、電流値の3つのデータを2箇所でとり、6つのデータを集積して活用しています。

KIS 流量センサーのデータだけを見てしまうと、排水設備のポンプのように断続的に動いている設備の性能は把握しづらいんです。

これは正常稼働中でもポンプが動いている時と止まっている時があるという性質のためです。

そこで流量センサーのデータと液面センサーのデータを組み合わせて「監視対象にする(ポンプが動いている)時間」を定義し、有効なデータだけを取得できるように工夫しました(下図参照)。

ひとつの画面で複数のデータを一緒に見ることで相関性や傾向を見える化したことも成功の鍵だったと思います。

米田 今はメンテナンスの時期を正確に知ることができるので事前に対処できますし、過剰なメンテナンスもしなくてよくなりました。

また異常の件数が減るだけではなく異常の内容自体も軽微なものになっているので修繕にも時間がかからなくなってきています。もちろん空耳もなくなりましたよ(笑)。

――トラブルが8〜9割削減されたというのは大きいですよね。
  更なる改善に向けて、今後取り組んでいきたいことはありますか?

4年間の集積データ活用でAI予知保全へのステップアップを目指す。

米田 現在はKISさんとAI予知保全の導入に向けて相談中です。

今はメンテナンスの有無を人が判断して行っていますが、人によって判断に違いが出るので異常をゼロにするのは難しいです。

ですからそこを予知保全でAIに判断してもらって対応できるように取り組んでいます。

KIS 予知保全は実データが十分集積できていないと精度の高い予測ができないのですが、オジックテクノロジーズさんは今の時点で十分なデータがあるので効果的なものが作れると思います。

米田 KISさんには実際のシステムだけでなくネットワーク上の問題もご相談したりしています。

ちょっとした相談にも回答をいただいているので助かっています。

私たちにはソフトウェアの知識がないので詳しいことはわからないのですが、こうしたい、ああしたいを反映していただけるのでありがたいです。

今後は予知保全の他にも、排水のタンク空き容量をセンシングすることで、現場にいながらモニターでタンクの空き容量を確認できるようにしていくことで、毎日何度も確認に来ている時間の削減をできたらと考えています。

KIS 了解いたしました。こうやって一緒に開発していけるのは我々もとてもやりがあります。

引き続きどうぞよろしくお願いいたします。

 

KIS’s eye

オジックテクノロジーズさんはIoTの導入に非常に熱心で、改善したい課題も明確にお持ちでした。

今回のような大幅な改善は日々のデータをしっかりと現場の運用に活かされているからこそ実現できたことだと感じています。

導入効果はIoTで見える化したデータをどう活かすかにかかっていますので、会社として製造現場のIoT導入をバックアップし、高い意識で継続的に取り組まれたことが大きな効果を生み出したのだと思います。

お客様が実際に利用されたご意見をいただけるのは私たちの喜びです。

フィードバックしていただくことで
開発側は更なる改善を行うことができますし、
一緒に開発していくことで相乗効果も生まれてきます。

お客様のニーズにお応えできるよう、これからも一緒に頑張らせていただこうと思いを新たにしております。

 

 

 

(左から)SE :菰田景氏、営業鈴居琴未

 

ソリューションの詳細はこちら→設備装置管理ソリューション:SetsuVision(傾向管理)

お問い合わせはこちら→お問い合わせフォーム

 

企業DATA

株式会社オジックテクノロジーズ

本社
860-0079熊本県熊本市西区上熊本2-9-9
https://www.ogic.ne.jp/

合志事業所
861-1116
熊本県合志市福原1-27 セミコンテクノパーク

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